次世代のものづくりは人材の育成から澁谷ものづくり人材育成研究所

2017.07.26~28 『仕上げ技術技能指導力向上講習会』

主 催
全国工業高等学校長協会
協 賛
一般財団法人 澁谷ものづくり人材育成研究所
協 力
静岡県立科学技術工業高等学校

 全国工業高等学校長協会が主催する平成29年度夏季講習会の全95プログラムの1つとして、当財団が協賛する『仕上げ技術技能指導力向上講習会』を実施しました。今年で3年目になります。 今回の会場は静岡県立科学技術高等学校でしたので、静岡県および周辺県の先生が多かったのですが、遠く青森県や岡山県など遠方からも参加いただき、計9名(定員10名)の受講となりました。講師にはものづくりマイスター4名が指導にあたりました。受講された先生からは、『知らなかった手仕上げの基本がよくわかった。』『帰ったら生徒の実習の指導に活かしていきたい』という評価を多くいただきました。


1.講習会のねらい

機械実習のボール盤作業などでよく利用される「平行クランプ」の製作を通じて、仕上げ 作業の基本となる、やすりの基本動作、平面度、直角出し、R加工及びネジ立て、磨きなど を体験し、ものづくりの基礎となる技術技能指導力の向上を図ります。受講生ほぼ2名に1人の割合で指導者を配置しますので、個人指導に近いような丁寧さで技術技能を習得できます。
企業
               

2.スケジュール

7月26日(水曜)
 10時〜   開講式 挨拶、スケジュール説明、講師紹介、課題概要
 午前 実習 やすりの基本動作(荒削り)60分
 午後 実習 本体基準面加工 A面加工(荒・中仕上げ)105分
       R8やすり加工(荒・中仕上げ) 90分
7月27日(木曜)
 午前 実習 外形やすり(中仕上げ)90分
       外形やすり仕上げ 75分
 午後 実習 R8やすり仕上げ加工105分
       R4やすり仕上げ加工 90分
本体基準面加工 A面加工(荒・中仕上げ)105分
  7月28日(金曜)
 午前 実習 M6ネジ立て 90分 
       外形ペーパー磨き、全体目通し、組み立て75分
 午後 実習 組み立て、調整、完成 60分
 14時〜  受講生及び講師の感想、閉講式 挨拶、修了証書授与


3.受講者(9名)

青森県立八戸工業高等学校1名、神奈川県立神奈川総合産業工業高等学校1名、 山梨県立富士北稜高等学校1名、静岡県立浜松城北工業高等学校2名、 静岡県立科学技術高等学校2名、愛知県立小牧工業高等学校1名、   岡山県倉敷市立工業高等学校1名、


4.受講者の属性・プロフィールなど

(1)受講者の年代

                                                
20代1人
30代2人
40代5人
50代1人
   

(2)受講の動機 (重複回答)

                                               
スキルアップのため78%
授業改善のため67%
幅広い知識を得るため56%
校外研修の一環として11%
 

受講生Aさん「今授業で手仕上げを教えていますが、まったく経験がないので、試行錯誤の
       状態です。この講習は絶好の機会なので、しっかり勉強したいと思います」


受講生Bさん「説明の中で、失敗も大事だとお聞きしましたのでいっぱい失敗して、基礎から
       しっかり学んで、生徒たちに還元したいと思いますのでよろしくお願いします」


受講生Cさん「以前企業で実技の経験がありますが、教師になり今度手仕上げを教えるので、
       もう一度学び直したいと考えています。3年前からホームページでこの講習を
       知り参加したいと思っていましたが、今回は近くで実施されるので、ぜひこの
        機会にと思い申し込みました」

企業
  

5.講師

澁谷ものづくり人材育成研究所派遣講師(ものづくりマイスター)4名

             
首席講師平岡正夫 静岡県立科学技術高等学校 金型仕上げ 平面研削盤 金属プレス
治工具仕上げ 各1級       
講師 大海戸茂三 元パナソニック株式会社 金型仕上げ 平面研削盤 金属プレス
治工具仕上げ 各1級           
日置明郎 元パナソニック株式会社 機械組立 平面研削盤 直圧成形 各1級           
浅田英世 パナソニック株式会社 機械組立 フライス盤 平面研削盤
精密器具製作作業 各1級



左から大海戸茂三、平岡正夫、
日置明郎、浅田英世                 




6.講習会での技能習得のポイント

(1) 作業前の準備
 やすりは最初、柄が別になっていますので、やすりと柄が真っ直ぐになるよう取り付けます。 やすりには表と裏がありますので、回転させるなどして、よく見極めて当てる面を決めます。


               


(2)やすりの基本動作
 まず基本となる第一、第二、第三姿勢を取り、正しい態勢を整えます。脇を締めて、滑らかに体重移動ができるようにします。 基本形は修練された技能の結晶です。小さなやすりを使う時にも、この基本が活きてきます。(300㎜平荒やすり)


                


(3)平面度、直角出し
 時間の関係で、部品の爪(2点)の面を利用し、平面度、直角出しを行います。マイクロメーターでチェックしながら寸法の 精度を上げます。0.2mmの仕上げ代の部分を新明丹を使用した赤あたりを繰り返しながら、200㎜中目・細目やすりで仕上げます。 平面出しは仕上げの基本であることを学びます。


                


(4)R加工
 本課題にあるR8とR4の加工を行います。R加工がしっかりできると作品がしまってよく見えることを学びます。特に直線部との交わり部を丁寧に行います。


                


(5)ねじ立て 
 ねじ穴間のピッチをそろえること、ひとつひとつのねじを直角に立てることの重要性を学びます。今回はM6の下穴があいていますので、スコヤを使ってねじの直角度を念入りに確認し、ねじを切っていきます。


                

                

(6)外周の磨き
 外観をきれいにするのはものづくりの基本です。ペーパーの磨き方ひとつで見栄えが大きく変わります。目の通った磨きの美しさを味わいます。


                

(7)完成した平行クランプ


                


7. 参加者の感想・意見

(1)講習会の評価

                                                 
大変役に立った100%
概ね役に立った0%
あまり役に立たなかった0%
全く役に立たなかった0%
   

(2)授業に活用できるか

                               
すぐに活用できる78%
一部なら活用できる22%
全く活用できない0%


受講生Aさん 「学校では、教わったことのない手仕上げの実習を担当しながら、不安の中で指導していました。
       今回の講習を通じて、学校の生徒たちに自信を持って指導することができそうです」


受講生Bさん 技能のスペシャリストの方々が2人に1人のペースでついていただいたので、質問もしやすく、
       また大変わかりやすかったのがよかったです」


受講生Cさん 「間違った方法でいくら作業をしても精度が出ないと痛感しました。少し気を抜くとすぐに我流に
       戻ってしまうところを根気よく指導していただき、正しい作業ができ、精度を出せるようになりました」


受講生Dさん 校務分掌や学級担任が忙しいとか、いつの間にか言い訳をし、ものづくりの技量を高めようとする
       向上心が薄れていたように思います。今回、思い切って参加申込みをして本当に良かったと思います」



講習を終えた受講生の皆さん                 



8. 奥嶋代表理事の閉講の挨拶から

 「すべての研修は、あなたにとってのきっかけです。学んだからといって、すぐに役立つとか戦力になるというものではありません。たんに技能を学んだだけではなく、この場に来られてこの空気のもとに経験したことすべてがあなたのこやしになるのです。ここから精進を重ねて 5年経って10年経って、あの時のことが今の自分につながっているのかと実感できたときが、 あなたの評価になります。ですからぜひ精進を続けていただきたいと思います。  それと今回の首席講師の平岡先生の指導力は抜群だと感じています。「間」の取り方を上手にされていて、聞いている受講生の皆さんとの波長が合っていることに感心します。そういう教え方を実感として受け止められた皆さんは、このノウハウを生徒に教えるときにも活かしていただきたいと思います」

                                          

以 上

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